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音楽(11)
カテゴリ: 音楽 : yukko project : 
写真はWURLITZERのエレピを弾く坂口由起子。ウーリッツアの音色がユッコさんのオリジナル楽曲をマイルドに包む・・・っていう感触を得ましたねえ。
「坂口由起子」としてのソロ弾き語りライヴではピアノ音色でいいのですが、「坂口由起子ダダルカ」のほうはエレクトリック・ギター、フレットレス・ベースとヴォーカルのアンサンブルなので、それも「打楽器レス」なのでサウンドの成立上、なにかがキープ(アレンジ上、リズムの推進力係は今誰かということを考えるので)しなければならない。たとえばドラムとかがはいっている場合は強いキープがあるので、ギターやピアノなどのコード楽器は全音符(いわゆるミュージシャン用語で言う白玉)でも様になるし、コード楽器どうしのぶつかりを避ける選択肢が増えるが、コード楽器がふたつあるとアンサンブル上のアレンジ、決めごとをある程度しっかりしなければならない。またロックのラフアレンジでいくようなものとも違い、いつもぎんぎんにギターがストロークでキープというのでもないし、デリケートに歌をサポートしなければならない。そういう点からウーリッツアのエレピは音色がマイルドなのでいいかもしれない、というわけだ。
しかし、そういう硬い話はさておいてウーリッツアのエレピはなんか和む。
見た目も60年代70年代のいい意味でのチープさ、温かさを醸し出している。
ステレオアウトはなく、モノラルだし。キレイキレイに広がるのではなくコロっとした感じ。ノラ・ジョーンズ、シェリル・クロウ、アリシア・キーズなど現代のロック、ポップ、ソウルシーンの中でもただの流行ヒットメイカーではなく、自分の音楽性を自信をもって構築しているセンス抜群のアーティストたちがあえてこれを使うわけがなんとなく理解。
■閲覧数 (179)
2008/07/04
カテゴリ: 音楽 : 雑感 : 
名古屋で空いた時間にちょっと行ってみた場所が、市郊外の赤池という町にある「レトロ電車博物館」。昔の路面電車などに出会えた。室内にも入れたが木造の床がまた今となってはある種の気品が感じられる。(前出のウーリッツアのエレピもそんな時代に作られたものだし)
そう言えば上田の別所線にもレトロ電車まだ現役ですよね!確か。

名古屋の昔を知ってるわけではないので、この電車そのものに「懐かしい!」ではないが僕の生まれ育った東京中目黒は路面電車-都電の8番という路線の終点だったので、同じような時代の...多分1950〜60年代の車両にはやはり似た趣があって感慨深い。(東京では三輪橋から早稲田への路線が唯一残っている都電で、この路線は路面を走行する部分があまりない為生き残った。また東急の世田谷線も本来玉電という路面電車の支線だが三軒茶屋〜下高井戸区間は路面でないので残った)
8番の都電に乗ると、恵比寿、広尾、ニの橋、麻布十番から虎ノ門、霞が関、日比谷、銀座4丁目を通って築地までの、超都会区間を運行していた。と言っても、高層ビルなどひとつもない頃だし、中目黒などは今や憧れの住宅区域になっているが、40年〜50年以上も前はまだのん気な町だった気がする。空き地、ちょっとした裏山に林があったり....ドラえもんの舞台のような感じだろうか。
軽井沢に移り住んで、たまに舗装されていない道、砂利道を歩いていると1960年代子供の頃の東京がフッと頭を過る。人間って子供時代の風景環境にはなんか安心感をもつのではないか。

親に都電に乗って広尾、天現寺の有栖川公園(今も池、林が残り付近の人々の憩いの場所)に連れていってもらった記憶がある。父も地下鉄ができるまでは勤め先の霞が関まで都電で通勤していた。地下鉄では中目黒〜霞が関間は15分だが、路面電車だと50分くらいはかかっていたのではないか。だから今は懐かしいといって美化するが、当時は目黒辺りから都心へは遠かった、というわけだ。「便利」という生産性高きものを手に入れ、なにかは失っていったのだろう。
8番都電は大部分現在の地下鉄日比谷線に重なるわけで、日比谷線が開通の頃(1963年)に廃止になったような覚えがある。近年は車よりエコということで海外でも路面電車が見直されているとの話を聞く。アムステルダムに行った時はほぼ路面電車で移動いていた気がする。日本でも広島などまだまだ路面電車が現役バリバリの都市もけっこうあるし。車が多くなって邪魔者扱いされ路面電車は消えていったが、今は長年続いた車社会=ガソリンによる車、が考えなおされる立場になった。

■閲覧数 (305)
2008/06/29
カテゴリ: 音楽 : 
下の写真はWURLITZER(ウーリッツア)のエレピです。シェリル・クロウ、ノラ・ジョーンズ、アリシア・キーズなどこれを愛用しているミュージシャン多いです。フェンダーのRHODESエレピとはまた違った独特の味がある。いい意味でのチープさ、70年代風のロックテイストだったり。ジャズとかフュージョンではローズのほうが活躍だけどポップ、ロックのちょっと伴奏でなんともいえない雰囲気がだせる。

数年前から大阪心斎橋の三木楽器のキーボードコーナーにはこのWURLITZERが数台あった。
ちょっと触ってみて、いいなあ、と。タッチはローズよりは軽いので専門キーボーディストでない僕でもダイジョブそう!
しかしチューニング等のメンテはちょっと難しいそう。つくりもあの時代(1960年代後半から70年)のもんだしね。

アメリカの楽器もフォークギターの超一流ブランドのマーチンは元々ドイツ人だし、このWURLITZERもドイツとかオーストリアとかなのでしょうか?
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2008/06/23
カテゴリ: 音楽 : 
1960年代のヘンリー・マンシーニの映画音楽曲「Baby Elephant Walk(子象の行進)」をリメイクした。これはSapporoビールの新製品「麦とホップ」のCM音楽のため。ヘンリー・マンシーニは有名な「ピンクパンサー」の音楽を始め、オードリー・ヘップバーンの「ティファニーで朝食を」(この中の「Moon River」は名曲!)などちょっとジャズテイストなお洒落な作風が素晴らしい作曲家だ。僕のアレンジは、今回は素直で、それほど革新的なことをしたわけではないがテーマメロディ以外の部分では新たなパートを作って楽しんだ。楽曲としてはブルースコード進行を基調にしたジャズロックのリズムによる洒落たムードの曲。黒人ブルースもこんな風に都会的なライト感覚になるというお手本だ。僕は1コーラス目のメロディをクラリネットとフルートでいって、2コーラス目はソロヴァイオリンにした。テレビCMでは15秒サイズのスポットCMが殆どなので、ほぼメロだけみたいな感じではありますけどね。ザンネン!
映像は白バック、または黒バックに田村正和さんがただちょっとしたおしゃべりをするだけ、という演出。だいたい音楽家が撮影に立ち会ったりはしないが(映画の場合は僕は必ず何日かは撮影に行くが)映像スタッフにお聞きしたところ田村正和さん(64)は夕方の5時には必ず撮影を終え、7時にはご自宅で夕食をする、というスケジュールを必ず守っているとのことらしい。凄いなあ!僕なんか時間なく朝(遅い朝ですが)から深夜まで適当に仕事しちゃってる30年(この4月で30周年なんですワ、これが・・・恐ろしい年月経ってる)だ。
さらに僕など、東京の仲間たちからは軽井沢在住なんて言われて、一見優雅そうだけど、年中東京、大阪、名古屋行き来の全く落ち着かない人生。食生活も乱れるし、気温差もあり、若くないのになんでこんなヘヴィーライフになってしまったんだろう?考えなければいけないかもだ。軽井沢では静かにしてたいよお!なんて。
写真は東銀座音響ハウススタジオで「BabyElephantWalk」レコーディング風景。
クラリネットは名手ボブ・ザング。フルートは高桑英世。後ろのベーシストは加瀬達。どなたもトップクラスのスタジオミュージシャン。レコーディングも超スムースにはこんだ。
■閲覧数 (786)
2008/06/13
カテゴリ: 音楽 : 映画音楽 : 
徳川園つながりで時代劇の話を....

2004年にテレビ2時間15分のスペシャルドラマ「丹下左膳」(出演:中村獅童、ともさかりえ、西田敏行、風間杜夫)の音楽を担当した。京都の帷子ノ辻(かたびらのつじ)にある松竹撮影所などで制作された。帷子ノ辻は有名な太秦(うずまさ)東映撮影所の少し西にある。龍安寺とか天龍寺とかがこの辺りから近い。仕上げ作業も京都だったので立ち会った。そして音楽だが、立ち回り(チャンバラ)のシーンにはロック的な音楽を作曲した。また柳生源三郎や忍者の首領との戦いにはエレクトリックギターで歪ませた音でのアンビエント風な音楽を映像を見ながら即興的にギターを弾いて作曲した。これはとても興味深い雰囲気が生まれ自分でも納得の劇伴音楽となった。先日の名古屋学芸大学での講義(学生諸君のリポートを読むと反響が大きかった)でも分析したが、まず時代劇にロック?とかエレキ?というのが意外に思われるわけだが、それは全く不思議なことではない。

まず「丹下左膳」のキャラ設定を検証しよう。彼は武家の子息だったがある不可解な事件でお家が潰される...家族が切腹する。そこでドロップアウトの人生を歩むことになる。仕事は、剣の腕がたつのでたまに用心棒かなんかで稼ぐくらい...のまあフリーター的な感じ。そして酒好き、女の家で暮らしている、ぐうたら、でいて自分より強い奴とは戦いたい、権力嫌い...等々のことクリアしていくと、時代ということさえ抜かせば、ロックな奴=パンク野郎なのだということが明白になる。

またメインタイトル部ではロック、スライドギターメロに続きラップのヴォーカルをいれてみた。これはななんと私が「ハッポウフサガリ、カタメノサムライ...」などとラップしてる。勿論ラップの専門家ではないが中村獅童左膳にはそのくらいやっても合うと思ったからだ。
柳生源三郎との最初の決闘シーンは京都神護寺で撮影された。ここは京都盆地北西部の山に向う辺りにあるとてもいい寺だ。ワタシ京都のお寺は相当制覇してんですこれが!

このシーン、即興でギター弾いたが、戦いの中で左膳のセリフが一瞬あり、そこでフレーズを切るようにうまく合わせて弾いた。忍者の首領とのシーンは左膳は紅い襦袢が印象的な河原での決闘で、決闘をあおるリズムとかではなく、ロングトーンの歪んだギター音というところが今までにない時代劇の決闘シーンを作れたのではないかと密かに自負しているのであ〜ります!しかし時代劇、面白いデス。

そしてそしてこれが縁?で、獅童さんの2006年の新橋演舞場でのお芝居「獅童流-森の石松」の音楽をやることになる。ここでもまたまたロックしたりレゲエしたり...でした。    
写真は名古屋、徳川園の黒門。
■閲覧数 (832)
2008/06/09
カテゴリ: 音楽 : 雑感 : 
ここんとこ毎週名古屋に通っている。名古屋学芸大学での8回集中講義(映像につける音楽講座)の為だ。このあいだは空いた時間に徳川園、徳川美術館へ足を伸ばす。しかし名古屋は道が広い広い。栄からバスに乗ると片道5車線の道路とかがたくさんある、バスが中央ラインを走り、バス停が道の真ん中にあったりする。それもちゃんと屋根付で、ステーションっていう感じ。
徳川美術館は尾張徳川家の所蔵品が相当数展示されていて壮観だった。桃山から江戸期のものだ。秀吉がねね(おね)に送った手紙もあった。刀や衣服の所蔵もいろいろあった。ただなんといっても凄いのは屏風画のコレクションだ。凄い凄い。綿密な描写のデリケートさは勿論だが当時の人々の様々な生活の様子が描かれているのが興味深い。豊国祭礼図、歌舞伎図巻、遊楽図屏風。また下の写真の本田平八郎姿絵屏風のなんとも艶やかで色っぽいこと!来ている服の繊細な模様、ファッショナブルだ。
狩野派の四季花鳥図屏風、三十六歌仙図額。土佐派の源氏物語画帖、厳島、松島図屏風、近江八景図巻....などなど、圧倒された。そしてそれらが勢いを失っていった18世紀に登場した丸山応挙の鯉亀図風炉先屏風のそれまでとは全く異なるさっぱりとした、透明感ある写実風な絵、これには感動した。
また尾張徳川家の参勤交代の模様を図にしたものも克明な絵だ。3000〜4000人が尾張から江戸へ大移動する。電車も飛行機もない時代、これは大々的なイベントだし、経済的にも莫大な資金が必要だ。幕府はそういうことをさせて地方大名に金を使わせたんだろう。

とにかく日本の美術の素晴らしさにただただ感動してしまった。またゆっくり見たい!(平日の午前中だったがゴロウジンの団体さん、館内べちゃくちゃしゃべってて、うるせ〜ったらありゃしない...「近頃のワケーモンは」ってよく言うけど、「近頃のジジイババアは」ってね。美術館は静かにおねげえしますだ...こっちはワケーモンでもないし、どっちかってえとジジイに近いんですが、ああなっちゃやばいよなって)
美術館の外には徳川園という日本庭園もあり和める時間を過した。

■閲覧数 (1031)
2008/05/28
カテゴリ: 音楽 : 
スピーカーの下などに敷く「インシュレーター」なるものをいただいた。丸くて重量感あり金色で凹凸の2つでワンセットのその製品を左右スピーカーの下にセット。うちのB&Wのスピーカーは後ろが狭くなってる形状なので前に2つ後ろに1つ置いた。シェリル・クロウのアルバムをテスト音にかけつつ、セット前と後で聴き比べた。う〜んいい!ベースなどの輪郭もはっきりしたし、音量的にもアップしているぞ。こりゃけっこう凄いかも。
シェリル・クロウを試聴したのは勿論好きだからだけど、リズムセクションの鳴りかた、ロックのベース音像感などがちょうどいいかなと。

これは、僕が5月6月と毎週(毎週なんでけっこう大変です)映像音楽の講義をしに行っている名古屋学芸大学の森幸長先生(彼はGibsonレスポールのヴィンテージ、ヤイリの特注アコースティックギター等いい楽器持ってる)からのプレゼントだけど、一般的も安価(ひとつ1200円くらいからあるらしい)で音質アップだ。全然オーディオオタクではないが、一応音楽の作り手としては、そこで作っている時のバランスやベースの出具合など、デリケートな場面に出くわす。そこである程度音質にこだわったセットにならざるを得ない。BGMでオシャレに音楽聴いてるわけじゃないので...作り手としての責任だ。他のスピーカーにも設置したほうがいいかも...
参照... http://web.mac.com/morry724/moriweb/インシュレーター.html

写真:B&W のスピーカーの下にあるのがインシュレーター
■閲覧数 (1206)
2008/05/20
カテゴリ: 音楽 : 
今週土曜日(17日)の12時からのFM軽井沢「サウンドガーデン」にまたまた出演予定です。軽井沢とその近辺しか聴けないのが残念ではありますが。
今週は「コンポジショナルなアレンジ考」とでもいいましょうか、そんなテーマを今考え中。原曲とアレンジされたもの、言ってみればBEFORE~AFTERで聴き比べて、そのアレンジ料理の仕方、レシピ、コンセプトに関するエピソードなどをお話ししようかと思ってるわけです。
原曲をかろうじてわからせるくらいの斬新なアレンジ作品もご紹介予定です。
CD化されていない作品もありますので、聴ける方々、期待してください!
アレンジ(編曲)といっても、様々な手法があり、メロディありきのところにとにかくオケづくりをしていくのもアレンジだし、元々の音楽を別の次元にもっていってしまうのもアレンジ。ここでは後者のほうでいってみたいのです。
クラシック曲、ロック曲、スタンダード曲をいかにアレンジするか、自分のワールドにしてしまうかを特集します。聴けない方々の為にまたご報告もしましょう!

ポップ音楽業界ではよく「アレンジャー」なることばもあります。まあでも僕の場合いわゆる「アレンジャー」ではないでしょうね。またアレンジャーという響きはなんか色のない人、的な雰囲気もありです。作家性のない職人というか。それで自分は「アレンジ」という作業してますがアレンジャーと名乗ったことないです。でもいろんな楽曲のアレンジしてるし、坂口由起子作品もアレンジしたんで、アレンジにまつわる話をしようかと思います。

■閲覧数 (1326)
2008/05/14
カテゴリ: 音楽 : 
まずお知らせ....今日なんですよ!!!
日程:2008.5.3(祝日)
@上田市troubadour the LOFT(トゥルバドール・ザ・ロフト)アコースティックナイト(19時スタート)にも「坂口由起子ダダルカ」出演デス。

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....で、ワタシ、映画音楽などやるようになってからクラシック出身と間違えられること多い。先日のFM番組出演でもそう思われてたし、スタジオミュージシャンからもプロデューサーでも昔からの私を知らない方々は結構そう思ってる人多いんです。しかしわたしゃギター歪ませて喜んでるオジサンだす。ブルーノートの響きが好きだし、8ビートのグルーヴが....ってなところ。
で、まあそっち(欧風アカデミック)出身じゃないですが、じゃあクラシックはどうなの....的な話をたまにはねえ。

実は普段クラシックは殆ど聴かないが、昨年CM (TOYOTA プリウスの海外VERSION)でチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲1番」をアレンジしたので改めて聴いたりした、その前の年はやはりTOYOTAハリヤーハイブリッドキャンペーンCMでベートーベンの「皇帝」の冒頭部分をアレンジしたので、この時はスコアを見ながら聴いた。また昨年サッポロビールのCMではガーシュウィンの「プレリュード3番」をアレンジした。もっともガーシュウィンは半分ティンパンアレイなポップの人ですが。他にはグリークの「ソルベイグの歌」、ビゼー「カルメン」、スメタナ「モルダウ」、シューベルト、サティ(この方はアカデミックな作曲家ではない)、バッハなどなどたくさんアレンジしてる。

しかしなんといっても好きなクラシックといったらドビュッシー、ラヴェル、ストラヴィンスキー、バルトークといった近代現代の音楽だろうか。言葉としてはなんか変?好きなクラシックは近代現代って...確かに。

ドビュッシーでは管弦楽曲「海」「ノクチュルヌ」、ピアノ曲では「ゴリウォーグのケイクウォーク」や「プレリュード第1集2集」、また「弦楽四重奏曲」もいい。ドビュッシーはそれまでの和声に革命を起こしてしまったほんとうの天才と言える人だと思う。発想も凄いし、形式にもこだわらないので管弦楽を書いても4楽章の交響曲とか書かないし、3楽章の協奏曲も書かず例えば「ピアノと管弦楽の為の幻想曲」という自由な形式にしている。もう王侯貴族をパトロンにしてた時代ではなくなり、新しい美意識の感覚を誰より早く掴み、そこのリアリティを感じて古い音楽形式をすべてぶっ壊してしまったのだ。その壊しかただがドビュッシー以後のドイツ、オーストリア系の才人たちは12音技法など数学的に壊していき、東欧系では民族=ナショナリズム的を取り入れ改革していったが、ドビュッシーはまるで映像的に、というか情緒よりも情景というか、そこが素敵な感じ!
ドビュッシーはピアニストとしても超一流だったらしい。ホールトーンスケール(全音音階)も面白いし、テンション感覚はそれまでのクラシックにはなかった。ガムラン音楽やアメリカ黒人のラグタイムの影響も受けた。前奏曲集など聴いていると、ぶっとんでいて夢の中に舞い込み戻ってこないような展開がとてつもない才能を感じる。ドイツ系の音楽が人間の生きる本質にせまる硬い音楽だとすると、時に説教されてるようだが(あの第9なんてほんとう説教されてる気分になる...決まって暮れにやる習慣かんべんして〜!)、フランス人の音楽は基本的にぶっ飛んでいても、音楽は楽しみ、快楽、という雰囲気がわたしゃ合っている。ロマン派、後期ロマン派の時代を幕引きしたのはまさしくクロード・ドビュッシーだ。

モーリス・ラヴェルでは「ダフニスとクローエ」の華麗なるオーケストレイション。冒頭のフルートのパッセージはまるで打ち込みシーケンスのような斬新でドライな感性。合唱の組み込みかたも凄い。さすがオーケストレションの魔術師と言われるだけある。ムソルグスキーのピアノ音楽「展覧会の絵」をアレンジしているが、リムスキー=コルサコフのアレンジよりオシャレで素晴らしい。それは当時最先端だったsaxという楽器の使用でもわかる。ピアノ曲「亡き王女の為のパヴァーヌ」「水の戯れ」なんか凄〜く好き。ラヴェルの「弦楽四重奏曲」もいい。ドビュッシーの天才的発想ではないにしろ最高のオーケストレイション技術、そしてきちんと理性的な感じがする。「ボレロ」のリフレインでの展開という凄いことをしつつエンディングにも丁寧さがあるのはドビュッシーよりちゃんとしている。

イゴール・ストラヴィンスキーではディアギレフ団長率いるロシアバレエ団の3大バレエ音楽「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」があげられる。これらは1911年から1914年頃毎年パリで初演された。このバレエ団には有名なダンサーのニジンスキーがいた。「ペトルーシュカ」のあのピアノのリズミックなリフはポップでいいし、「春の祭典」の弦楽セクションの2度4度系のリズムパッセージはロックのようにかっこいい。ロシア、ペテルスブルグ音楽院でのストラヴィンスキーの先生はリムスキー=コルサコフだが、先生は当時の学生達に「決してドビュッシーを聴いちゃいかん」と釘を刺していた。しかし当時のストラヴィンスキーはじめ学生達のアイドルはドビュッシーだったそうだ。ただロシア革命などを逃れスイスなどヨーロッパを流浪する生活から、後にアメリカでの亡命生活を送った。日本の現代作曲家、故武満徹を最初に評価したのはストラヴィンスキーで、それまでひどい扱いを受けてた武満さんはストラヴィンスキーの言葉により一気に認められることになる。また「春の祭典」は昔は超難解曲とされ、戦後まもなくの日本での東京初演では、指揮者が今どこを演奏しているのかわからなくなってしまい、スコアをめくって探しだす混乱が起き、その後木管のひとりが最後のフレーズを吹いて、それに合わせて適当に終った、というエピソードがある。勿論1914年頃のパリでもまだ一般にはロマンティックな音楽が常識な時代、初演では客席から罵声、怒号の嵐、散々なできだったらしい。

数年前シャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団の「春の祭典」のリハーサル風景というのをNHKでオンエアしていたが、いやいや凄いのなんのって。デュトワという指揮者、確か当時のN響の首席常任指揮者ですが、彼には完全に「春の祭典」のすべての音符がカラダに染込んでるんだなあ、ということが如実にわかる光景で感動したのでした。分母がどんどん変わる「春の祭典」のスコア、20世紀の初めにストラヴィンスキーはとんでもないもの書いたんですワ。

ベラ・バルトークではなんといっても「弦と打楽器とチェレスタの為の音楽」通称「弦チェレ」はほんとうに凄い厳しい美しさの音楽。昔小沢征爾指揮ボストンシンフォニーでのナマを東京で見た。感激だった。弦楽が2グループに分け、打楽器も5〜6人使用する編成で、安っぽい情緒に流れることのない毅然とした品格が全編を支配する凄い音楽だ。他に通称「オケコン」と呼ばれている「管弦楽の為の協奏曲」(これは生活が困窮し、オーケストラに演奏してもらうヒットねらいの音楽で、事実、世界中のオケが演奏する音楽になった)、「民族舞曲」の日本の笙(しょう)のような和声もエキゾチックで興味深いし、スキャンダルな内容の舞曲「中国の不思議な役人」(関係ないけどこの題名、全く現在の状況言ってるみたいで妙に納得)、「弦楽四重奏曲」ではアレグロ・ピチカートという全編ピチカート(弓でなく指で演奏する)の曲が凄いドライヴ感ある。

ピアノ音楽のミクロコスモスの「オスティナート」もグルーヴある曲で20年前くらいにチック・コリアとハービー・ハンコックというジャズの2大ピアニストが弾いたのをナマで見たがノリがあって素晴らしかった。クラシックにはリズムのグルーヴという概念がないのでこういう音楽はコリアとハンコックという知的でグルーヴあるピアニストにはばっちりだ。バルトークはハンガリーでコダーイとともに民族音楽を採譜したので、そういう民族のリズムのような強い生き様が繁栄している感じ。フランスのドビュッシー、ラヴェル等に比べるとオシャレさはないが、バッハを尊敬し、その対位法を無調風にして自らの音楽語法を築き上げた、超真面目な人のような気がする。バルトークも晩年はアメリカに住んでいた。

結局クラシックといってもロマン派や古典派は良さはわかっていても殆ど好きになれず、このあたりばかり聴くことになっている。それはきっと3和音中心で綺麗に作曲された時代から、ノイズのような音を楽音で表現した、現代感覚....なんか綺麗だけじゃないものに新たな美意識をつくりだした先駆者たち、という気がしてならない。現在はほんとうにノイズをそのまま使用するが、封建社会貴族文化が崩壊して都会、市民文化が興る時、そこに生じた喜び悩みなどを表現する時、3和音中心だけではリアリティがなくなっていったとも言えるのだと思う。
ストラヴィンスキーやバルトークが代表作品を残した後20世紀は中期からジャズの出現で世界の音楽語法は別の角度からの刺激を受けポピュラリティ的にはそちらから発展していくポップミュージックが人々の心を捉えていく時代になる。

---写真は「読書の森」のロバさん---
■閲覧数 (1786)
2008/05/03
カテゴリ: 音楽 : 雑感 : 
4月29日19時佐久平RAVEN「坂口由起子ダダルカ」ライヴ! 今日だぜ!
これ見てる(読んでる)ちゅうことは皆さま間に合う人?間に合ったらヨロシクです!間に合わなかったら
日程:2008.5.3(祝日)
@上田市troubadour the LOFT(トゥルバドール・ザ・ロフト)アコースティックナイト(19時スタート)にも「坂口由起子ダダルカ」出演デス。

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ところで、うちの辺り軽井沢にもやっと桜の季節がきたが、これは4月中旬のこと.........
大阪は天満橋から徒歩7分くらいあっただろうか。
この日はあいにくの雨だが、一度は行ってみたかった大阪造幣局の桜通り抜け。この季節だけこの道を一般に開放する、大阪の一大イベントだ!
大阪にはしょっちゅう行くのに、桜の季節初めてだったので、場所の行き方よくわからず、ひとりだし、花見に行くと思われる多くの人々にくっついて造幣局の門あたりまで辿り着く。中は一方通行で歩くわけだ。そして宴会とかはいっさいやってないので、いわゆる花見の行楽地とは雰囲気が異なる。とにかく桜を見つつ一方通行で歩いていくのだ。八重桜系の様々な桜がたくさん...ほんとうに凄いたくさん咲いている。人も多い、雨も降ってるので傘の華?も多い。

素晴らしいのは枝ぶりが地面までおよんでいる樹が多くて、目の前(ほんと目の位置の真ん前)で桜が見れる。八重桜系のヴォリュームある桜はなかなか豪華絢爛たるムード。ソメイヨシノの可憐な風情が日本的にはポピュラーだがこちらもけっこう良い良い。毎年、「今年の桜」という樹木があって2008年は「普賢象」という名前の桜だった。

大阪の地名の例えばこの「天満」とか昔からのいろいろな地名があるが、僕にとっては1982年に音楽担当した舞台劇、近松門左衛門原作「女殺油地獄」(主演:嵐徳三郎 高林由紀子)の舞台となったのがこの辺りだし、それ以来、大阪の昔からの地名がアタマにこびりついている。そしてこの「女殺油地獄」の音楽はとても評判良く、まだ僕は20歳台だったが、その後の僕の映画音楽等の自信にもなった記念のお芝居だった。

また「女殺油地獄」は近松の有名な世話物悲劇の代表作でいろんなところで演じられているがNHKテレビで演出:和田勉、主演:松田優作、和由布子、島田紳助 等が印象に残っている。やはりこういう芝居でも松田優作はすご〜い演技を見せていた。ちなみにこちらの音楽は邦楽の打楽器のみでの音楽で、斬新でドライ(非情緒的)で良かった。

写真はその大阪造幣局の桜通り抜け。

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2008/04/29

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